法人営業の経験がある社内SEのひとりごと。ちなみに10回以上転職してます。

40歳で12回目の転職活動という人生の節目で、 幸運とも風変わりとも言えるキャリアを振り返るきっかけとして、 本コンテンツを作ろうと思いました。      読者登録やブックマーク・コメントなど、お気軽にどうぞ。

出版業と黒船来航について

私が所属した業界・業種について書きます。


新卒で働いた会社は業種的には出版社でした。
組織の内部から見た出版社の、特に営業部門からの視点なので
良くも悪くも狭い世界であることを事前にご理解ください。

 

私が所属していた20年近く前でも、すでに出版市場は縮小し始めていました。
書店営業の担当者いわく「囲碁」「陣取り合戦」なのだと。
書店の棚と言う限られた枠の中に、自分の会社が出版した書籍を
どうやって押し込み展開し場所取りするか。
それこそ出版業界特有の販売ルールである返品制度を押しのけてでも
1冊でも多くの場所をどうやって確保するか。
そんな環境負荷が高い消耗戦をしていました。

 

そういう売り方ができるのは、再販制度という
とても特殊な物流制度があるからです。

 

再販制度とは「再販売価格維持制度」という名前で、
簡単に言えば、モノの販売価格を生産者側が決められる制度です。
多くの商品は、販売者側が消費者の購買動向を見ながら自由に販売価格を
決めることができるのですが、再販制度は価格が固定です。
どの書店を回っても、同じ書籍は同じ価格。
これは再販制度があるからです。

 

そのかわり、商品の物流も独特です。
出版社~取次(卸)~書店(販売店)という物流が固定されているのです。
しかも売れない書籍は取次経由で出版社に返品できるし、
返品分は書店に返金されるのです。

 

売れてくれればすべてが助かるけれど、
売れなくても書店はそこそこ助かるとなれば、
とりあえず書籍を仕入れて、様子を見て返品するみたいな、
実に奇妙で不思議な物流のルールが守られているのです。

 

言い換えれば、本当に売れる本が作れたならば
それこそ「早く仕入れてくれ!なぜそんなに仕入れが遅いんだ!」と
叱られるくらい時間がかかる物流でもあります。

 

個人的にはAmazonと言う黒船が再販制度を脅かし緊張感を抱かせたと思います。
安易な値下げ競争には与しませんが、制度によって過度に守られることで
「より良いものをより安く」という競争が起きなくなるのも事実ですからね。

 

私は本が大好きだからこそ、
他の業界と同じような競争が出版業にも起きることに期待します。